ちょうど離婚二年前くらいだったかな、元義父が癌になった。
山や旅が好きな方で、優しくてドーンとしたお人柄で笑い声と笑顔の素敵な方だった。私は義父が本当に大好きでいつも山や旅の話を楽しみにしていた。
少しづつ外出もできなくなってきたと聞いて何か日課になる様なことができないかな?って考えた。そして、義父の好きな山や高山植物の絵を36色色鉛筆を使って毎日送った。日々の徒然も書いてね。切手も綺麗なのとか珍しいのを貼ってね。
綺麗な沢山の色を毎日目にすると気持ちも少し明るくなるかな?毎日ポストにいくのが楽しみになってくださったらとっても嬉しいな。入院することになっても絵手紙を目にすることが楽しみになってくださったらありがたいな。
そんな思いでね、、、
三週間くらいたってからかな、義父から電話があって
「ハガキも切手もお金がもったいないから、その分を子供たちのおやつでも買ってあげて。私はいいですよ。」
って。私は
「お義父さまのおかげ様で毎日いろんな色の色鉛筆を使って絵を描かせて頂けて本当に楽しくて幸せなんです、迷惑でなかったら送らせて下さい。」
って言った。そしたらいいですよ。って。
それから離婚まで2年弱毎日送らせていただいた、毎日絵手紙を描いてるとね、心に大きな変化を感じた。ハガキに向かっている時間は間違いなく義父のことを考え思っている、勿論お身体のことも。よく考えたら自分の両親のことでも1日一回必ず思い出すか?兄弟のことを思い出すか?毎日はないなぁ、、って思った。
大好きだったけど血の繋がっていない義父に毎日気持を向けている自分の心に驚いた、日々の積み重ねってすごいね。
突然の離婚に義父も驚いていた、寂しかったなぁ、、、一緒に北アルプスに登りたかった。離婚の際に義父が「お前には過ぎた嫁だった」って言ってくれたそうだ。
私はこの言葉だけでこの結婚生活を認めてもらえた気がした。
この言葉だけで満足だった。
考えたら、絵手紙を送らせていただけたから、
何年も眠っていた色鉛筆を使わせていただける、
子供の花図鑑を調べてるなんて機会を与えていただける、
義父の旅された地域を調べさせていただける、
毎日机に座って静かな時間をもたせていただける、
切手ってあまり使うことなかったけど色んな切手と出会わせていただける、
字が下手だなと感じたからペン習字も家でやり始めた、
あー、私にとって良いことばかりで義父に感謝しかないと思った。
数年前に一人で北アルプスに追悼登山に行った。
お義理様、お空で見ててくれたかな。